20160312press_release

銀河団の合体で巨大衝撃波が生まれる瞬間をとらえた

 

概要

「銀河団」とは銀河の大集団であり、重力で自らの形を保持する宇宙最大の天体です。これらは、現在でも、周囲の銀河団と衝突合体を繰り返して成長しています。大量のダークマターが生じる重力によって、銀河団には約1億度の高温ガスが大量に閉じ込められ、それが強いX線を放射します。我々は、天の川に遮られて観測が遅れていた銀河団CIZA J1358.9-4750を、X線天文衛星「すざく」(日本)や「チャンドラ」(米国)を用いて観測し、これが2つの銀河団がまさに合体しつつある姿であることを確かめました。データ解析の結果、2つの銀河団の中間に、500万光年を超える長さの巨大衝撃波が、まさに誕生しつつあることを発見しました。その年齢は5000万年よりも若いと計算されます。衝突銀河団の巨大衝撃波はこれまでも報告されていますが、ここまで若いものは世界で初めてです。我々の発見により、宇宙最大規模の衝撃波の中で何が起きているのか、ガスの加熱や粒子加速などを知る上で、極めて重要な手がかりを与える天体であることが判明しました。

研究グループ

中澤 知洋 (なかざわ かずひろ: 東京大学大学院理学系研究科 物理学専攻 講師)

加藤 佑一 (かとう ゆういち: 同 博士1年)

牧島 一夫 (まきしま かずお: 同 名誉教授、理化学研究所・研究顧問)

赤堀 卓也 (あかほり たくや: 鹿児島大学大学院 理工学研究科 物理・宇宙専攻 特任准教授)

藤田 裕 (ふじた ゆたか: 大阪大学大学院理学研究科
宇宙地球科学専攻 准教授))

滝沢 元和 (たきざわ もとかず: 山形大学 理学部物理学科 准教授)

Aurora Simionescu (オーロラ シミオネスク: JAXA 宇宙科学研究所 International Young Top Fellow)

Liyi Gu (リーイー グー: SRON Netherlands institute for space research、研究員)

 

当日の記者発表出席者

赤堀 卓也、加藤 佑一、牧島 一夫

資料、データなど、お問い合わせ先 中澤知洋

メール:nakazawa@phys.s.u-tokyo.ac.jp

電話: 090-8038-5648 (携帯)・電話: 03-5841-4173 (研究室)・FAX: 03-5841-4059 (研究室)

発表資料


CIZAJ1358_fig1

(左上)「すざく」が捉えたCIZA1358.9-4750 銀河団のX 線画像。2回目の観測データも合わせた最終的に得た全体像。X 線で明るいところが赤く、暗いところが青く描かれている。(左下) 数値計算で推定した衝突前期の銀河団のガス密度分布。中央に衝撃波が発生した直後の様子。[a4] (右) CIZA1358.9-4750 銀河団のガスの温度分布。2つの目玉の中間に、温度 6keV(7000 万度)程度(水色~黄色)の周辺ガスより明らかに高温の、9 keV(1億度)に達する領域(赤)が帯状に北東方向へ伸びている。グレーの枠は、図5に示した「チャンドラ」で観測した領域。「すざく」による1回目の観測もほぼ同じ位置を見ている。


CIZAJ1358_fig2

(左) CIZA1358.9-4750 銀河団中心部を、分解能に優れた「チャンドラ」で観測したもの。この図でも、色が青いほど暗く、赤いほど明るい。「すざく」が見つけた高温の筋があるところに、X 線が周囲より一段と明るくなった帯があり、この領域は密度も高いことを示している。(右) 左図の白い破線の領域の長辺に沿ったX 線輝度の変化。縦の緑線が左図での緑の破線位置に当たる。ここで、X 線輝度が急増していることが確認できる。

大きめな画像ファイルなどは、今回の我々の成果のものはこちらにありますが、不足などの際は上記メールへご相談ください。

2016-03-7